お魚講習会(出張講座)のご案内

お魚講習会、と聞くと「子どもたちにお魚をさばいて見せる」とイメージされませんか?

私たちの提供する講座は、それとは全く異なります。例えば、子どもはただ見ているだけでなく、自ら調理ハサミを使って開腹します。

そして、使うお魚はスーパーで売られている魚と違い、漁師さんが漁獲直後に凍結したタラや雑魚(ニシン、カジカ、ハッカク、イカ、カレイ、ザラビクニン等の深海魚)を直送していただいています。このような鮮度の良い自然のままの食材を教材とすることで、いろいろな学びが生れます。

例えば、すぐに凍結したタラを解体すると、胃の内容物が未消化状態で出てきます。子どもたちは水深200mの深海で、タラがどんなものを食べているのか体感できます。たらふく食べる大食漢のタラは、強力な消化酵素を持っているので、このように冷凍しなければ消化が進んでしまうので、市販品では実施困難です。

また雑魚も一緒に観察することで、子どもたちは魚の口の中に指を入れて、それぞれの魚毎に違う歯や舌の感触を確かめて、海の中のどこに住んでいて、どんな食べ物を食べているかを考えるきっかけとなります。市場に出回らない雑魚も子どもたちの自然体験教材としては最良のものです。

そして子どもたちは各自調理ハサミでウロコ取りや内臓除去を解剖実習のように体験しながら、生き物としてのお魚を実感し、それを食べることで命の大切さや命のつながりを理解するのです。

また漁獲の様子も漁師さんの撮影したビデオでお見せして、子どもたちにどんな海で、どのように漁獲されているかも紹介しています。

この講座を行った園の園長さんからは、「卒園式で将来お魚屋さんになりたいと言った子がいました。お魚講座で思いっきり魚を触っていた子でよほど楽しかったんですね」、「魚の漁獲を知り、自分でさばいて食べるところまでをやりきるプログラムは、子どもたちのやりきった感をとても強く感じます」といった評価をいただいています。

この講座は、2名の講師が人数分のお魚や調理ハサミ、デモンストレーション用の資材、ビデオ等を持参して保育園・幼稚園・児童館等を訪問。園や館では会場と食べるために必要な調理器具や食器などの準備だけで開催可能な講座です。

費用は参加児童20名程度で5万円(税、お魚代別:お魚は大きなタラ1尾、25cmクラス20尾、観察用雑魚5種で輸送費込み8千円程度)。主に11月~3月に実施予定(別時期の実施は予めご相談ください)。お魚は当会メンバーの底曳き漁船船主から提供されますが、計画的に確保するため提供数の限りがありますのでお早目のご用命をお待ちしております。

講座の概要は以下のリンクで動画をご覧ください。

https://youtu.be/w_8uNrnmfFw

講座開催に向けたご質問やご用命は以下のお問い合わせフォームをご利用ください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc_FeFSCqizGADsTMe-CuhQxqijTMKKblQII3ZyGXa8YF71sQ/viewform?vc=0&c=0&w=1&flr=0&usp=mail_form_link

 

 私たちは、このような講座が全国各地で実践されることを願い、指導者育成のための企画として2022年度より、お魚を提供いただいている北海道網走での体験学習講座(夏・秋)も開催しています。

これまでに関西や首都圏の保育園、幼稚園、児童館、大学の関係者の方に参加いただき、「すばらしい企画で多くの学びがありました」「鮭の遡上を近くで見たり、タラの水揚げの様子を漁港で見るなど、実際に体験することがこんなに大切とは思いませんでした」「今度は子どもたちを連れて、子どもたちにも体験させたい」との嬉しい声も聞いています。2024年も開催予定ですので、ご関心のある方の参加をお待ちしております。

 https://cdn.goope.jp/76298/230625234514-649852faf1c48.pdf

私たちは、こうした取り組みが生産地(者)と消費地(者)の間の距離を縮め、双方の相互理解が深まる一助になることを願っています。

Q北海道網走で行う理由は?

 2023年11月14日のNHKクローズアップ現代「マグロが捨てられる!?海の恵みをどう守るか」において、網走漁協の取り組みが2つ(定置網漁師が共同化して資源管理、鮭の遡上する網走川流域を農業者と協力して環境保全)も紹介されるほど、日本国内において先進的な漁業への取り組みが行われています。さらに網走漁協に隣接する西網走漁協は日本国内各地の湖沼へわかさぎ種卵を提供して日本の内水面漁業を支えています。シジミ、ワカサギ、シラウオといった内水面漁業から、鮭・鱒・ホタテなどの沿岸漁業、沖合でのタラなどの底曳き網漁、タラバガニ漁、タコ漁、ウニ漁どなど、網走はお魚を学びたい人にとっては多種多様な水産資源と触れ合える場所なのです。

網走川の河口部に位置するモヨロ遺跡では、その貝塚から貝の他に獣の骨や人骨も出土しています。この事実は、かつてこの地に住んでいた人々にとって、貝塚は亡くなった近親者と同じように食べ物についても「再びこの世に生まれてくることを願った場所」であることを示していると考えられています。

こうした多くの学びを得られる場所が北海道網走なのです。

Q味の教室協会と網走川流域の農業、漁業との関係は?

代表が20数年前より網走川流域の農業者、漁業者の皆さんと交流させていただいています。

網走川に鮭が遡上できるような自然環境を取り戻すため農業者と漁業者が協力し、畑のそばの河川で鮭が飛び跳ねる流域づくりを目指す呼びかけ(サーモンアクションプラン)を代表が行ったことがきっかけとなって、日本で初めての1農協と2漁協による共同宣言が生れました。

その後は、地元関係者の熱意と努力によって、関係自治体などの行政や流域の他の農協、森林関係部局や民間団体なども巻き込んで「網走川流域の会」として、大きな活動へと成長しています。この網走川流域の会は、2022年度第41回全国豊かな海づくり大会の漁場・環境保全部門で環境大臣賞が授与されました。

味の教室協会は、流域におけるこうした食への取り組みを流域外の皆様に紹介し、「味わう」行為を通じて消費者理解を深めていただくことで、流域の取り組みに貢献したいと考えています。

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