講座の様子・学生さんの声

講座開催の様子

愛知淑徳大学にて開催しました講座の様子をご紹介します。

講座の様子1.png

講座の様子2.png

 

受講した学生さんによる卒業論文の一部紹介

ワークショップに参加された方の卒業論文からの抜粋をご紹介します。

(前略)

 「五感をきたえる味の教室」からの学びを通して、食育に対する考えが大きく変化した。以前は、食育=栄養というイメージが大きかったため、それこそが食育であると思い込んでいた。しかし、この学びを通して食育とは、栄養が全てではないということを強く実感した。食育は、子どもが生涯にわたる食生活作りの基盤となり、その後の生活に大きく関わってくるものである。幼少期の食育体験が、その後の食生活において良い方向に行くかどうかは、食育活動を展開する大人が子どもに、食材への興味を上手く引き寄せられるかどうかで変化するものではないだろうか。子ども達に食育活動を展開する多くは、保育者であると考える。そのため、保育者は食育に対して従来の食育とは異なる新しい食育に関する考え方を持つ必要がある。食育活動は栄養を学ぶだけの活動ではなく、五感体験を通して、子ども達の楽しい記憶に残るような工夫をしながら行うことが重要である。
 また、保育者は普段から給食などの食の時間を子ども達と共有している。

(後略)

「子どもにとって良い食育とはー「五感をきたえる味の教室」を通してー」
第5章 保育現場に生かしたいことー本研究から得た示唆―

 

参加された学生さんの声

これまでは食育というと、野菜などをクラスごとに栽培し、収穫して給食の中で食べるという、食材の育つ過程に子ども自身が関わりながら自然の恵みを知るという活動が中心だと思っていました。自分で育てた愛情があるからこそ味や食感に興味を持って食べるということができると思いますが、食材そのものの見た目や匂い、手触り、食べる時の咀嚼音まで、細かく探求するということはあまりないと思います。

今回初めて体験したサペレメソッドは、五感を使った共感型活動であり、子ども自身の発見や気づきを大切にされていることがとても良いと感じました。自分で気づき、さらにそれらを肯定的に受け止めてもらうという経験は楽しい記憶として残りやすく、食材へのイメージが変化するきっかけになると思います。

私自身も今回のワークショップで、昆布の表面に白い粉があること、種類の多さ、味や手触りの違いなど、特徴を知ることができ昆布に対する印象が変わりました。大学の授業でもそうですが、ただ座学で聞いているだけよりも原体験をした方が楽しい気持ちや印象が残りやすいです。子どもは全身の感覚を使って周りの環境に働きかけながら様々なことを吸収していくため、この食育は子どもを刺激するとても良いものだと感じました。また、河口先生が仰っていた準備する食材はあえて色々な形や色のものを選んでいるというのは、人の姿や考え方など人間関係にも関連し、食に関してだけでなく幅広いねらいがあることに驚きました。

新しい食育を学び、子どもが自分で体験し、その気づきを表現できるようにすることが非常に重要であることが分かりました。子どもが意欲的に活動するには、普段の生活で子どもの様子に合った環境や関わりが大前提となるので、就職した際、子どもの思い一つ一つにきちんと向き合って保育をしていきたいと改めて感じました。

普段の生活では見ることのできない昆布の実際の大きさを感じたり、触ったり匂いだりして様々な発見をすることができて楽しかったです。このような体験を子どもがすることで食材に対する興味が持てて、ただ食べるだけでなく食材の見た目や匂い、食感など五感を使って食を楽しめるようになると思いました。また、子どもから出た感想を否定せずにそのまま受け止め、共感することが大切だと学ぶことができました。

今回の体験を通して、子どもへの食育についてはもちろん、自分自身も食への興味を持つことができました。私は子どもの頃から食が細く、食べることにあまり興味がありませんでした。しかし、今回の五感を使った体験をしたことで、どんな匂いがするか、どんな味がするかなどを感じたり、考えたり、伝え合ったりすることで、味や食べることを楽しむことができました。

家に帰って夜ご飯を食べるとき、味付けは何かや、どういう風に美味しいのかなど、普段より細かく母に伝えると、とても嬉しそうにしていました。子どもたちもこの体験の後、楽しかったことを親御さんに伝え、親子で食を楽しめると思いました。保育者として働く中で、子どもたちが食へ興味をもち、食べる時間が楽しいと感じられるように関わっていきたいと思いました。

食育というと、多くの園では芋掘りや野菜の収穫、紙芝居や絵本などの教材を用いた活動がメインである。 しかし、今回のワークショップでは実際に触ったり食べたり品種を比べたりする「体験」とその体験から得られる子どもの「五感」を大切にしており、子どもが主体的に活動を行うことができると感じた。

味の教室を初めて体験し、様々な発見や学びを得ることができました。味の教室では、子ども役を演じて参加することで、子ども達の気持ちを想像しながら行うことができました。従来の食育とは異なり、五感体験を大切とするサペレメソッドは、子ども達が楽しみながら食育を行うことで子ども達が食へ関心を持つことに繋がり、子ども達の将来の食生活や健康へと関係してくるということを知りました。

今回学んだことは、どれも来年からの保育の現場で活かせることばかりでした。子ども達が楽しみながら食育活動を行えるような環境を整えることを、来年からは保育者として大切にしていきたいです。とても貴重なお時間をありがとうございました。