日記
若竹煮は誰の発明?
春ですね。
タケノコのシーズン到来です。
京都では、西山のタケノコが有名です。
美味しいタケノコを作るために丁寧に管理された竹林は、竹林というよりタケノコ畑です。
土質にも恵まれた西山のタケノコは、昭和天皇の料理番として有名な秋山徳蔵さんがその著書で、タケノコでは日本一美味しいと絶賛しているほど、昔から知られているものです。
タケノコを美味しく食べるレシピはいろいろありますが、私は同じ季節の海産物「ワカメ(若芽)」とあわせた若竹煮が大好きです。
医療機関で栄養士として食事の相談業務を担当していた時、そこの職員から「タケノコはどうして食べたら美味しいか」と聞かれ、「若竹煮」を紹介しました。
その後、その職員が喜んで報告してくれたのは、「うちの母はタケノコを食べると痒くなるのであまり食べられない人なのですが、若竹煮は美味しいばかりか痒くもならず、とても喜んで食べていました」とのこと。
タケノコにはシュウ酸が多いので、過食すると血液中のカルシウムと結合して尿路結石の原因にもなると言われていますが、よく茹でることでシュウ酸が水に溶けだすことや、カルシウムの多い食品(ワカメはカルシウムが多い)と一緒に食べることで腸内でシュウ酸カルシウム(石)になって、そのまま体内に吸収されることなく便として排出されるとも言われています。
タケノコとワカメという同じ季節の旬のものをあわせていただく知恵は、「こうして食べると痒くならずにたくさん食べられる」と気づいた人によって発見されたのかもしれない、と思った出来事でした。
よく噛んで食べてます!(楽しい咀嚼音)
本年度の「五感をきたえる味の教室」も今週月曜日が最終回でした。
おかげ様で年間100回を超える実践活動を無事終了することができました。
現在は今年度の実施前後に行った保護者へのアンケート調査を集計して各園に報告しています。
各園の園長さん、先生からは、味の教室での取り組みが、その後に子どもたちの日ごろの園での活動に活かされている話をお聞きしています。
例えば園の行事のサツマイモ堀りとその後の調理でも、子どもたち同士がこれまで以上にサツマイモをよく観察し、匂いの違いなどを話していた姿があったそうです。
その他いろいろなお話を聞いていますが、最も多いのは給食時に「両手で耳をふさいで咀嚼音を聞く取り組み」です。
耳をふさぐと意外なほど大きな咀嚼音が聞こえます。
子どもたちは最初はそれに驚き、食材によって違う音に気が付くと、いいろいろな食べもので試します。
給食時に咀嚼音を聞く子どもたちの姿を見た園でも、噛んだら楽しそうな食材、根菜類を意識して多く出すようにしているとのこと。
こうした取り組みが、子どもたちに「自分は噛んで食べている」という自覚や「よく噛むことで楽しい発見がある」という気づきとなって「よく噛んで食べる子」を増やすきっかけとなることを願っています。
柔らかくした昆布片を嚙みながら「海に帰りたいって言ってる」音を聞いた女の子、
冷凍したリンゴ片を噛んで「(生リンゴの時の)シャキシャキの音が消えた」と驚いて報告してくれた男の子、
給食時に「このキュウリ、ポリポリ、音するで」とのお友だちの声に、思わず自分も口にして「ホンマや」と叫んだ、キュウリが苦手だった男の子、
いろいろな食材で咀嚼音は楽しめます。
皆さんも是非、試してみてください。
ただし、子どもには決して強制せず「楽しい体験活動」となるようにご注意を。
具体的な取り組み方法は、本ホームページに子どもゆめ基金様からの助成金で作成した動画教材がありますので、そちらをご覧ください。
冬のバナナの熟度調整は大変です
私たちの講座でよく使う食材に熟度の異なる3種のバナナがあります。
緑の未熟なものが黄色になって、シュガースポットが出て茶色への変わります。
この熟度の変化によって、色(視覚情報)だけでなく、固さ(触覚)、匂い(嗅覚)、甘さ(味覚)、咀嚼音(聴覚)の五感のそれぞれでの違いを感知でき、同じバナナでも好みが違い、食べごろがあることなどを理解できる教材です。バナナは多くの子どもたちに親しみやすいこともあって、とても重宝しています。
先月下旬、幼児食育の第一人者であるY先生の施設によばれ、年中さんから小学6年生とその保護者を対象として、バナナを使った五感体験活動を行いました。おかげさまで、参加された皆様からたった一つの食材から、これだけ多くのことを学ぶことが出来、食材に対する考え方が変化したと好評でした。
こうした活動は、3種のバナナを提供してくださる果物屋さんあってこそです。
私たちは、京都市北区にある新大宮通り商店街の千松商店さんにいつも3種のバナナを注文しています。
2017年に活動を開始した当初は、緑のバナナをなんとかお願いして入手し、熟したバナナは自分達で熟度調整を行っていました。
その後回数を重ねるうちに当方が必要とする熟度のバナナを理解していただき、今は千松商店さんの方で熟度調整を行ってくれています。今回は冬期間だったので、熟した茶色のバナナとするために、1月下旬の活動に向けて正月明けから徐々に色をつける取り組みをしていただきました。感謝感謝です。
京都のほうれん草
寒い日が続きます。
鍋が恋しいですね。
北海道で生活していた頃は、ラムしゃぶ、というのが好物でした。
薄い冷凍のラム肉とほうれん草をしゃぶしゃぶするだけのいたって簡単なものです。
京都に移り住んでからはラム肉はあまり見かけず久しく食べていないので、時に恋しくなります。
ところで京都の八百屋さんで地物のほうれん草を見たときに、少し驚いたことがあります。
それは、ほうれん草が根っこ付きで売られていることです。
長ネギも根っこ付きで売られていることがあります。
もちろん、いずれも「食べるため」です。
ほうれん草の根っこは甘く、そのままお浸しに。
長ネギの根っこは軽く粉をして揚げるとおつまみに最適です。
ほうれん草はビート(砂糖ダイコン)と同じ仲間ですから、根っこが甘いのは当然ですね。
根っこのおいしさに気づき食べてきた京都人はたいしたものだと感心すると共に、
立派な根っこを誇らしげに見せるところに、生産者や流通業者、販売店の心意気を感じます。
根性という言葉があるくらい、根っこは大切ですからね。